胃潰瘍・十二指腸潰瘍
症状の概要
胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、胃酸による胃または十二指腸の内壁の損傷によって起こります。これらの病気の一般的な症状には以下のものがあります:
- 上腹部の痛み: 最も一般的な症状の一つで、食後に痛みが増すことがあります。一般的に、十二指腸潰瘍は、空腹時や夜間に腹痛が起こり、食事をすると一時的に治まる症状が多くみられます。胃潰瘍の場合は、食後に痛み出すという特徴がありますが、症状のみでは判断は難しく、胃カメラが確実な判断方法となります。
- 消化不良: 食後に胃がもたれる感じや、胃酸の逆流を伴うことがあります。
- 食欲不振: 胃の痛みにより食欲が落ちることがあります。
- 体重減少: 食欲不振による体重の減少が見られることがあります。
- 吐き気や嘔吐: ときには吐血することがあり、緊急の治療が必要です。
- 黒色の便: 消化管出血により便が黒く変色することがあります。
これらの症状は他の病気と似ていることがありますが、持続する場合や悪化する場合には、専門の医療機関(中村まさし内科クリニックは専門医療機関です)での診断と治療が重要です。
検査方法
胃潰瘍および十二指腸潰瘍の診断には、以下のような検査が行われます:
1. 内視鏡検査:
- 最も一般的な検査方法で、胃カメラによる内視鏡検査です。胃・十二指腸にカメラを挿入し、潰瘍や炎症があるかどうかを直接観察します。
- 必要に応じて、病変部からの組織採取(生検)を行い、がんなどの他の疾患の除外やヘリコバクター・ピロリ菌の検査を行います。実際、胃潰瘍と胃がんの鑑別が難しい潰瘍は存在します。組織をとっても、がんを否定するために、3ケ月程度に胃カメラの検査フォローをすることをお勧めします。
治療法
胃潰瘍および十二指腸潰瘍の治療は、症状の程度と原因に基づいて異なりますが、以下の治療オプションが一般的に利用されます:
1. 薬物療法:
- プロトンポンプ阻害剤 (PPI): 胃酸の分泌を抑え、潰瘍の治癒を促進します。この薬の開発により昔は手術していた胃潰瘍が薬のみで治る時代が来ました。
- H2受容体拮抗薬: 胃酸の分泌を減少させることで潰瘍の痛みを軽減します。
- ピロリ菌除菌 3剤併用療法
2. 食生活の管理:
- 辛い食べ物やアルコールの摂取を避け、食事の回数を増やして少量ずつ食べることが推奨されます。
- 生魚摂取によるアニサキスによりアニサキスの影響で出血性胃潰瘍を呈した患者様の経験があり。寄生虫にも注意が必要。
- ロキソニンのような痛み止めの頻回の内服により薬剤性の胃潰瘍を作ることがしばしばあります。頭痛等での内服薬を頻回に内服する時に腹痛等を認めた場合はかならず受診するようにしましょう。
3. 手術治療:
- 腹痛を我慢して胃潰瘍→胃穿孔という胃に穴があいた状態にまで進行した病態の時には手術の必要な場合があります。
4. 生活習慣の改善:
- 禁煙とストレス管理が治療効果を高めることが知られています。
- 痛み止めの乱用をできる限り控える。