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膵のう胞

膵のう胞

膵のう胞は膵臓内に生じる液体充満の袋状の構造で、様々な種類があります。これらの種類は各々異なる原因、症状、治療法、そして予後を持っています。そのため、これらの違いを理解することは重要です。以下に、主な膵臓のう胞の種類を、記述します。

  1. 導管内乳頭粘液性新生物(IPMN): 膵臓の導管の細胞が異常になり、過剰な粘液を産生することで発生します。この粘液が膵臓の導管を拡張し、のう胞を形成します。これは良性から悪性へと変化する可能性があります。主膵管型と分枝型の2つの主要なタイプがあり、それぞれが異なるリスクと管理戦略を持っています。

  2. 粘液性嚢胞腺腫(MCN): これも粘液を産生する細胞により発生しますが、通常は単一の大きなう胞として現れ、主に女性に見られます。これらも悪性化のリスクを持つめ、しっかりとした監視または手術が必要な場合があります。

その他にも膵のう胞には様々な種類があります。漿液性嚢胞腫瘍(SCN)、充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)などがその例です。しかし、膵臓のう胞の中で最も一般的なのが膵管内乳頭粘液産生腫瘍(IPMN)です。さらに、IPMNは膵がんへと進行する可能性があるため、特別な注意が必要です。このため、IPMNは膵のう胞の中で最も重要なものと言えます。

医療専門家が膵臓のう胞を診断するとき、その種類と可能性のリスクを特定するために、さまざまな診断ツール(CTスキャン、MRI、EUSなど)が使用されます。これらのう胞の一部は特に監視が必要であり、それぞれの管理と治療戦略はその種類により大きく異なります。

下記に特に注意が必要と思われるIPMNについて記載させていただきます。

IPMNとは何か?

膵管内乳頭粘液産生腫瘍(IPMN)は、膵臓の内側の導管が正常な細胞から異常な細胞へと変わる状態を指します。これらの細胞は粘液を生産し、膵臓内の導管を拡張させることがあります。IPMNは良性の状態であることが多いですが、時折悪性化(がん)する可能性があります。

膵臓は私たちの消化系の一部で、インスリンといった重要なホルモンを生成し、食物の消化を助ける消化酵素を製造します。膵臓は頭部、体部、尾部から成り立っています。そして、全体を通じて細い導管のネットワークが張り巡らされており、これらが膵液を膵臓の外部に運びます。

IPMNは主に2つの種類に分けられます:主導管型と側枝導管型です。主導管型IPMNは、膵臓の主膵管に発生します。この型は悪性化する可能性が高いと考えられています。一方、分枝型IPMNは、膵臓の小さな側導管に発生します。この型は悪性化する可能性が低いですが、それでも慎重に監視する必要があります。

 

症状

IPMNの初期段階では症状はあまり現れないことが多いです。これは、IPMNが膵臓の機能に大きな影響を与えず、また、膵管が拡張するだけでなく、過剰な粘液による炎症や感染が起こらないためです。

しかし、IPMNが進行すると以下のような症状が現れることがあります:

  • 腹痛:これはしばしば膵臓がある上腹部または背中の痛みとして感じられます。
  • 黄疸:肝臓が生成するビリルビンという物質が体内に蓄積すると、皮膚や眼の白が黄色くなります。これは、膵頭部のIPMNが胆管を圧迫し、ビリルビンの排泄を阻害するために起こることがあります。
  • 食欲不振、体重減少:これらは一般的に膵臓疾患の進行を示す兆候であり、IPMNが膵臓の機能に影響を及ぼし始めたときに現れることがあります。
  • 下痢または便秘:これらは膵臓が適切に消化酵素を生成しないとき、または膵液の排泄が阻害されるときに発生することがあります。

これらの症状は他の多くの疾患とも共通していますので、IPMNの診断は専門的な医療評価を必要とします。

診断方法

IPMNの診断は主に画像診断によって行われますが、細胞診や生検も補助的に行われることがあります。

  • 画像診断: これには腹部超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像(MRI)などが含まれます。これらの手法は非侵襲的であり、のう胞の位置やサイズ、内部の構造を詳細に把握することができます。また、内視鏡超音波検査(EUS)は高解像度の画像を提供し、細胞診や生検のガイドとしても利用されます。しかし、これらの手法は高度な設備と技術を必要とし、一部の小さいう胞や初期の癌を見逃す可能性があります。

  • 細胞診と生検: 細胞診は液体サンプルを取り、その中にがん細胞が存在するかどうかを調べるためのテストです。これは通常、EUSによって導入された針を通して行われます。生検は実際に組織サンプルを取ることで、より詳細な細胞レベルでの分析を可能にします。これらの方法はより確実な診断を提供できますが、侵襲的な手法であるため、出血や感染のリスクが伴います。

 治療法

IPMNの治療は、その種類(主導管型か側枝導管型)、サイズ、位置、症状、および悪性化のリスクに基づいて決定されます。

  • 観察: 小さな分枝型IPMNで、高リスクの特徴や症状がない場合、観察と定期的な画像検査が行われます。これは非侵襲的なアプローチで、不必要な手術のリスクを避けることができますが、悪性化の可能性を完全に排除することはできません。

  • 手術: 大きなのう胞、主導管型IPMN、高リスクの特徴を持つ分枝型PMN、または症状を引き起こすのう胞の場合、手術が推奨されます。これは一部または全膵臓の切除を含むことがあります。手術は最も確実な治療法であり、悪性化のリスクを大幅に減らすことができますが、合併症のリスクを伴います。

膵のう胞で一番重要なこと

膵のう胞の管理において最も重要なことは、定期的な画像診断による経過観察を続けることです。この定期的なモニタリングにより、膵がんの早期発見と早期治療が可能となり、膵がんへの進行を防ぐことができます。膵のう胞が見つかった場合は、適切な医療ガイダンスの下、しっかりとしたフォローアップ計画を立て、それに従ってください。これにより、膵がんになってから初めて気付くという状況を避けることができます。

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