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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)とは?

潰瘍性大腸炎は、大腸の内側に慢性的な炎症を引き起こす疾患です。この炎症は、大腸の一番お尻部分の直腸から始まり、大腸の上の方へと広がることがあります。潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患(IBD)の一種であり、クローン病と共に、このグループの主要な疾患です。

症状

潰瘍性大腸炎の主な症状には以下のようなものがあります

  • 長期間にわたる下痢
  • 血便
  • 腹痛と腹部の張り
  • 体重減少
  • 疲労感

これらの症状は個人差が大きく、病状の重さにもよっても異なります。

原因

潰瘍性大腸炎の正確な原因はまだ明らかになっていませんが、遺伝的要因、免疫系の異常、環境因子などが関与していると考えられています。

潰瘍性大腸炎の診断方法

1. 病歴と症状の評価

まずは、患者様の病歴、現在の症状、および家族歴を詳細に聞き取ります。特に、下痢、血便の1日の回数、腹痛、体重減少などの症状を聴取します。

2. 血液検査

血液検査を通じて、炎症の兆候、栄養不良、貧血の有無などを調べます。これらの検査結果は、潰瘍性大腸炎の補助的な診断として用います。

3. 便検査

便検査は、感染症や寄生虫が症状の原因ではないことを確認するために行われます。これは内視鏡中に採取することが可能です。

4. 内視鏡検査

最も重要な検査が内視鏡検査です。大腸内視鏡検査によって、大腸の内部を直接観察し、炎症、潰瘍、出血の有無を確認します。必要に応じて、病変部から組織サンプル(バイオプシー)を採取し、顕微鏡での検査を行います。また、潰瘍性大腸炎の治療評価としても必要です。潰瘍性大腸炎は大腸がんの発症リスクとなるため定期な内視鏡検査をすることが必要となります。

5. 画像診断

場合によっては、CTスキャンやMRIなどの画像診断を使用して、大腸の状態を詳しく調べることがあります。これにより、大腸の炎症の程度やその他の合併症を評価することができます。

潰瘍性大腸炎の治療方法

潰瘍性大腸炎は、症状の重さや病気の範囲によって治療方法が異なります。目的は、症状の管理と炎症の抑制、そして長期的な寛解の維持です。以下に、主な治療方法を紹介します。

1. 薬物療法

  • 抗炎症薬: 炎症を減らすために最も一般的に使用される薬です。5-アミノサリチル酸(5-ASA)のような薬剤が、軽度から中等度の潰瘍性大腸炎に処方されることが多いです。時々、5-ASA不耐症の患者様がおられます。5-ASA製剤は基本的に副作用の少ない薬ですが、5-ASA不耐症の患者様は内服を継続していくと服薬開始後1~2週間で腹痛や下痢の悪化を伴うことがあります。内服している間に症状が悪化するようなことがあればすぐに処方医に受診するようにしましょう。
  • ステロイド: 重度の症状を抑えるために短期間使用されます。しかし、長期的な使用には副作用があるため、通常は限定された期間(2.3ケ月が目安)のみ使用されます。
  • 免疫調節剤: 免疫系の活動を抑えることで炎症を減少させる薬剤です。これらは、他の治療法が効果的でない場合に使用されることがあります。

2. 生物学的製剤

  • 生物学的製剤: 体の特定の免疫応答に作用し、炎症を減少させる薬剤です。中等度から重度の潰瘍性大腸炎に効果的で、他の治療法が効かない場合に使用されます。

3. 手術

  • 大腸全摘出術: 他の治療法が効果を示さない重度の症例、または大腸がんのリスクが高い場合に考慮されることがあります。これは、病変部分の大腸を全て取り除く手術です。

4. ライフスタイルと食事の調整

  • 食事の管理: 症状が強いときは消化のいい食事を食べる事をお勧めします。症状が落ち着いている時には特に食事制限はありません。
  • ストレス管理: ストレスは免疫低下を起こし、潰瘍性大腸炎の症状を悪化させるとも言われています。リラクゼーションや適度な運動が役立つことがあります。
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