大腸ポリープ・大腸がん
大腸ポリープについて
定義と種類
大腸ポリープは、大腸の内壁から成長する小さな突起や塊です。種類には主に「腺腫性ポリープ」と「非腺腫性ポリープ」があり、腺腫性ポリープはがんへ進行するリスクが高いとされています。内視鏡医が切除するポリープのほとんどががんへ進行すると言われているこの腺腫性ポリープです。
発見される理由
多くの場合、ポリープは無症状です。大きくなると出血や腹痛を引き起こすことがあります。また、便潜血での定期的なスクリーニングや他の消化器系の疾患の調査中に偶然発見されることが多いです。
診断方法
大腸内視鏡検査が最も一般的な診断方法です。この検査では、カメラを使用して大腸内部を直接観察し、ポリープを特定します。
大腸がんについて
定義、原因、種類
大腸がんは、大腸または直腸の細胞が制御不能に増殖し、腫瘍を形成する病状です。原因は遺伝的要因、ライフスタイル(高脂肪・低繊維の食事、運動不足、喫煙、肥満)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎の罹患者)の歴史などが関連しています。
症状
初期症状は目立たないことが多いですが、進行すると便に血が混じる、持続的な腹痛、体重減少、腹部膨満感、持続的な疲労感などが現れます。
診断と治療
大腸がんの診断には、大腸内視鏡検査、CTスキャン、血液検査などが用いられます。治療方法には手術、化学療法、放射線療法があり、がんの進行度に応じて選択されます。
予防とスクリーニング
予防策
- 健康的な食生活を心がける(高繊維質・低脂肪の食事、加工肉等は控えめに)
- 定期的な運動をする
- 喫煙を避け、アルコールの摂取を控えめにする
- 体重を適正範囲内に保つ
スクリーニングの重要性
大腸がんは早期発見が非常に重要であり、定期的なスクリーニングにより早期に発見し、治療することが可能です。大腸内視鏡でポリープ切除しておけば大腸がんでの死亡リスクはかなり低減されるものと考えてもらっていいと考えます。推奨されるスクリーニング方法には、大腸内視鏡検査、便潜血検査などがありますが、40歳を超えれば3-5年に一度は大腸内視鏡検査をお勧めします。
スクリーニング方法
- 大腸内視鏡検査: 大腸の全長を直接観察し、ポリープやがんを発見することができます。発見されたポリープは、多くの場合、その場で除去することが可能です。
- 便潜血検査: 便に微量の血が混ざっていないかを検査します。がんやポリープからの出血を示す可能性があります。
スクリーニングの推奨年齢と頻度
一般的には、50歳からスクリーニングを開始することが推奨されていますが、家族歴や遺伝的要因がある場合は、それより早く始める必要があり、40歳を超えたら一度大腸内視鏡検査をすることをお勧めします。適切なスクリーニングの間隔は、使用する検査の種類や個人のリスク因子によって異なりますが、大腸内視鏡検査は通常、3-5年ごとに、便潜血検査は1〜2年ごとに実施されることが多いです。初めての大腸内視鏡検査でポリープ切除をした人は1年後にもう一度検査を進めることをお勧めします。
大腸内視鏡検査について
大腸内視鏡検査の概要
大腸内視鏡検査は、大腸の内部を直接視覚化するための医療の技術です。直接確認できるから、早期にがんを切除して助かる可能性が高いと言われています。そのため膵臓がんや肝臓がんと違って早期に発見でき完治できる可能性が高いのです。この検査は、柔軟な管形のカメラ(内視鏡)を肛門から挿入し、大腸全体を検査します。検査中に異常が見つかった場合、必要に応じて生検やポリープの切除を行うことができます。検査前には、腸内を綺麗にするための下剤や食事制限が指示されることが一般的です。
大腸内視鏡検査の目的
大腸カメラ検査の主な目的は、大腸がんの早期発見と予防です。
さらに、以下のような目的でも行われます。
- 大腸がんのスクリーニングと診断: 早期に発見した場合、大腸がんは治療可能であり、完治の可能性も高くなります。
ポリープの検出と除去: 大腸ポリープはがん化する可能性があるため、早期に検出して切除することはがんの予防につながります。 - 炎症性腸疾患の診断: クローン病や潰瘍性大腸炎など、炎症性腸疾患の診断にも使用されます。
- 他の腸疾患の評価: 未明症状や異常な放射線検査結果を調査するためにも行われます。
大腸内視鏡検査の重要性
- 早期発見と治療: 大腸がんは初期段階で無症状であることが多いため、定期的な検査により早期発見し、早期治療が可能となります。
- 予防的介入: ポリープの早期発見と除去により、がん化のリスクを軽減できます。
- 生命の質の向上: 早期に治療することで、患者さんの生活の質を保持または向上させることができます。
- 効果的な治療プランの立案: 炎症性腸疾患や他の腸疾患の診断を支援し、個々の患者に最適な治療計画を策定するのに役立ちます。
内視鏡ポリープ切除術
大腸ポリープ切除術は、大腸(結腸や直腸)内にできたポリープを除去する手術です。ポリープとは、大腸の内壁から突出した小さな腫瘍のことで、良性のものが多いですが、放置するとがん化する可能性もあります。一般的に、腫瘍性ポリープ(腺腫)が数年間をかけて徐々に大きくなり、大腸がんに移行していくタイプが、大腸がんの9割を占めるといわれています。
一方、最近では正常の大腸粘膜から直接がんが発生する場合もあるとされ、そのタイプの大腸がんは、早期に浸潤・転移するたちの悪いタイプのがんであると考えられており、定期的な検査の重要性が示唆されています。
切除方法
大腸ポリープの切除方法にはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは内視鏡的ポリペクトミーです。この方法では、内視鏡を使用してポリープを切除します。他の方法には、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。
- 内視鏡的ポリペクトミー: 内視鏡を肛門から挿入し、内視鏡の 鉗子口から挿入したループ状の器具(スネア)を使ってポリープの茎を絞り切ります。
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR): 大きなポリープや初期のがんに対して行われることが多い方法です。ポリープの下に液体(生理食塩水)を注入して隆起させ、その上からスネアを使って切除します。
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD): EMRよりもさらに大きなポリープや範囲が広がった初期のがんに対して行われます。粘膜下層に電気メスを用い、健康な組織を残しつつポリープやがんを一括で切除します。入院加療が必要となります。
まとめ
大腸ポリープと大腸がんは、早期発見と適切な治療により、予後を大きく改善することができます。予防策の積極的な実施と定期的なスクリーニングによって、リスクを減少させることが可能です。健康的な生活習慣を維持し、推奨されるスクリーニングを受けることが、大腸がんの予防と早期発見において最も重要です。