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肺気腫

肺気腫とは?

肺気腫は、長期にわたる肺の病態の一つで、主に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一環として現れます。我々の身体には下記のような肺の細気管支の末端に空気の袋(肺胞)が無数にあり、ここで酸素と二酸化炭素の交換をしています。この病気では、この(肺胞)が破壊され、拡大することで呼吸機能が低下します。

原因

  • 喫煙: 最も一般的な原因であり、喫煙者の大多数が肺気腫のリスクを抱えています。
  • 大気汚染: 工業地帯や高汚染地域に住む人々にも見られる。
  • 遺伝的要因: アルファ1-アンチトリプシン欠乏症など、特定の遺伝的状態が関連している場合があります。
  • 職業的暴露: 特定の化学物質やダストに長期間さらされること。

原因の最大要因は喫煙

肺気腫のリスクに関して、喫煙は最も重要な単一のリスク因子です。
喫煙と肺気腫のリスクの関係を定量化する一般的な方法は、「パック・イヤー」という指標を使用することです。
この指標は、喫煙量と喫煙年数の両方を考慮に入れます。
パック・イヤーは、1日に1パック(20本)を1年間吸ったときの喫煙量に相当します。

パック・イヤーの計算方法

パック・イヤー=(1日あたりの喫煙パック数)×(喫煙年数)

たとえば、1日に1パックを20年間吸った人は、20パック・イヤーの喫煙歴があると言えます。
同様に、1日に半パックを40年間吸った人も20パック・イヤーになります。

リスクとパック・イヤー

パック・イヤーの数が多いほど、肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクは高くなります。
喫煙年数とともに、1日に吸うタバコの本数も重要です。
パック・イヤーは、喫煙による肺への損傷の程度を推定するために医療専門家によって使用されます。
一般的に20パック・イヤーで、呼吸器症状を訴えるならCOPDを疑います。

患者様はよく言われますが、ここ20年吸ってないんです。
→過去に多く長く吸っていれば二度と取り返しはつきません。しかしながら、喫煙を続ける方の方がリスクはかなり高いですので、20年前でもたばこはやめていただけることが身体には一番です。
可能であれば若くして吸わないという選択をしていただけることが一番と医師は考えております。

喫煙をやめると、肺気腫を含む多くの健康リスクが時間とともに減少しますが、長年にわたる喫煙による肺の損傷は完全には元には戻りません。しかし、禁煙は病気の進行を遅らせ、生活の質を改善する最も効果的な方法の一つです。

注意点

パック・イヤーはリスクを定量化するための一つの方法ですが、人によってリスクの増加は異なります。遺伝的要因、環境への曝露、全体的な健康状態など、他の要因も肺の健康に影響を及ぼします。

症状

  • 息切れ: 特に運動時や労働時に顕著ですが、進行すると安静時でも起こります。
  • 慢性的な咳: 痰を伴うこともあります。
  • 呼吸困難: 日常生活の質を大きく低下させることがあります。
  • 胸の圧迫感
  • 疲労感
  • 体重減少と筋肉の衰弱

診断

診断は、患者の医療歴の詳細な評価、身体検査、そして以下のような特定の検査に基づいて行われます。

  • スパイロメトリー検査: 呼吸機能を測定する最も一般的な検査。
  • 胸部X線: 肺の構造の変化を視覚化します。
  • CTスキャン: 肺の詳細な画像を提供し、病気の進行度を評価します。
    肺がんのリスクでもあるので同時に肺がんも問題ないか精査となります。
  • 血液検査: 特定の遺伝的条件を検出します。
  • COPD-PS:コロナ下での呼吸検査の問題より呼吸機能検査を行わない簡素化された質問用紙による検査です。

慢性閉塞性肺疾患 質問票(COPD-PS)

質問 回答
1.過去4週間に、どのくらい頻繁に息切れを感じましたか?
2.咳をしたとき、粘液や痰などが出たことが、これまでにありますか?
3.過去12か月のご自身に最もあてはまる回答を選んでください。
呼吸に問題があるため、以前に比べて活動しなくなった。
4.これまでの人生で、たばこを少なくとも100本は吸いましたか?
5.年齢はおいくつですか?

合計0点

合計点が4点以上の場合、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疑いがあります。早めに医療機関を受診しましょう。

治療について

1. 禁煙

禁煙: 喫煙は肺気腫の最大のリスク因子であり、病状の進行を遅らせるためには禁煙が絶対に必要です。

2. 薬物療法

気管支拡張薬: 吸入型の気管支拡張薬は、気道を開いて呼吸を楽にするために使用されます。短期作用型と長期作用型があります。

  • ステロイド: 吸入ステロイドは、気道の炎症を減らすのに役立ちますが、長期間の使用は副作用のリスクがあります。
  • 組み合わせ療法: しばしば、気管支拡張薬と吸入ステロイドは組み合わせて処方され、症状の管理に効果的です。
  • 抗生物質: 感染症の治療や予防に使用されることがあります。

3. 酸素療法

高度な肺気腫では、血中の酸素レベルが危険に低下することがあります。
酸素療法は、必要な酸素を体に供給し、呼吸を楽にし、活動レベルを向上させるのに役立ちます。当院では在宅酸素の処方もしております。

4. リハビリテーション

肺リハビリテーション: 運動、栄養指導、病気の管理教育、呼吸法訓練を含む総合的なプログラムです。
これらは、身体活動の耐性を高め、日常生活の質を改善するのに役立ちます。

5. 生活習慣の変更

  • 運動: 定期的な運動は、心肺機能の向上に役立ちます。
  • 健康的な食事: 栄養バランスの取れた食事は、全体的な健康状態の改善に寄与します。
  • 感染症の予防: 肺気腫患者は感染症にかかりやすく、重症化しやすいため、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの、コロナワクチン等の呼吸器疾患予防のワクチン接種が推奨されます。


肺気腫の治療は、症状の軽減と生活の質の向上を目指すためのものです。
医師や肺専門医と密接に協力し、個々の状態に最適な治療計画を立てることが重要です。

よくある質問

Q1: 肺気腫とは正確には何ですか?

A1: 肺気腫は、肺の空気を運ぶ細胞(肺胞)が破壊され、徐々に機能しなくなる慢性的な呼吸器疾患です。
これにより、体から二酸化炭素を排出し、酸素を取り込む能力が低下します。
主な症状には、息切れ、慢性的な咳、呼吸困難などがあります。

Q2: 肺気腫の主な原因は何ですか?

A2: 肺気腫の最も一般的な原因は長期間のタバコ喫煙です。

Q3: 肺気腫の治療法にはどのようなものがありますか?

A3: 肺気腫の治療は症状の管理と生活の質の向上に焦点を当てています。
主な治療法には、禁煙、気管支拡張薬、ステロイド、酸素療法、肺リハビリテーションがあります。

Q4: 肺気腫は遺伝しますか?

A4: 肺気腫自体は遺伝するものではありませんが、肺気腫を発症するリスクを高める特定の遺伝的要因がありますが、原因の首座は喫煙にあります。

Q5: 肺気腫の予防方法はありますか?

A5: 肺気腫の最も効果的な予防方法は、タバコ製品を避け、受動喫煙を含むあらゆる形態の喫煙から離れることです。
職場や環境の大気汚染、化学物質、ダストへの曝露を最小限に抑えることも重要です。
定期的な運動と健康的な生活習慣を維持することも、肺の健康を守るのに役立ちます。
また、肺気腫は感染症に弱く、呼吸器感染を予防するためこまめなワクチン接種はするようにしておきましょう。

Q6: 過去に喫煙してましたが、今は吸っていません。肺気腫になりますか??

A6: 肺気腫のリスクは喫煙であり、過去の喫煙も十分リスクになりうります。
禁煙している人の方が確実にリスクは低くなりますが、過去の喫煙でも肺気腫になる可能性はあります。

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