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逆流性食道炎

逆流性食道炎(GERD ガード)とは

逆流性食道炎(GERD)は、胃酸が食道に逆流することによって引き起こされる一般的な消化器系の疾患です。この状態は、胃と食道の間の筋肉、下部食道括約筋(LES)が適切に閉じないために生じます。結果として、胃酸が食道に逆流し、胸やけや酸味のある味、喉の痛みなどの不快な症状を引き起こします。
多くの人々が時折経験する胸やけと異なり、GERDはより頻繁で、しばしば生活の質に影響を与える程度の重い症状を伴います。特に食後や横になった時に症状が悪化することがあります。この病気は、不適切な食生活や肥満、妊娠、喫煙、特定の薬の使用などによっても引き起こされることがあります。
また、近年ヘリコバクターピロリ菌除菌によってGERDの患者数が飛躍的に増加しております。ピロリ菌の除菌は胃がんの抑制効果が著効して得られるメリットが大きいものの、GERDに対しては増悪の方向性となります。
逆流性食道炎の適切な診断と治療は、長期的な合併症を防ぐために重要です。これらの合併症には、食道の炎症や食道がんのリスク増加などがあります。症状が頻繁に起こる場合や、既存の治療法で改善が見られない場合は、医療の専門家に相談してください。

逆流性食道炎の症状を悪化させる食品と習慣

逆流性食道炎の症状は、特定の食品やライフスタイルの習慣によって悪化することがあります。これを理解し、適切に管理することで、症状を軽減し、日常生活の質を向上させることができます。

食品

  1. 辛い食べ物:唐辛子やスパイスが豊富な食品は胃酸の分泌を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。
  2. 脂っこい食品:高脂肪の食品は胃の空になる時間を長くし、胃酸の逆流を促進します。
  3. シトラス系の果物:オレンジやレモンなど、酸味の強い果物は胃酸の刺激になることがあります。
  4. チョコレート:チョコレートに含まれるカフェインやその他の成分がLESをリラックスさせ、胃酸の逆流を促すことがあります。
  5. カフェイン:コーヒー、紅茶、一部のソフトドリンクなど、カフェインを含む飲料も同様にLESを弱めることがあります。
  6. アルコール:アルコールもLESの機能を弱め、逆流を引き起こす原因となり得ます。

習慣

  1. 過食:一度に大量に食べると胃が過度に拡張し、食道への圧力が高まります。
  2. 食後すぐに横になる:食後は少なくとも2〜3時間は起きていることが推奨されます。横になると胃酸が食道に逆流しやすくなります。
  3. 喫煙:タバコはLESを弱め、胃酸の逆流を促進することが知られています。
  4. タイトな衣服:腹部に圧力をかける衣服は胃酸が食道に逆流しやすくなるため、避けることが望ましいです。

これらの食品や習慣を避けることで、GERDの症状を管理し、日々の不快感を軽減することが可能です。しかし、個々人で反応は異なるため、自分にとって何が症状を悪化させるかを理解することが重要です。

逆流性食道炎の検査方法

  1. 症状の評価
    • 医師は患者の症状の種類、頻度、およびそれらが日常生活に与える影響について詳細に問い合わせます。
    • 症状のパターン(食後の胸やけ、夜間の酸逆流など)が評価される。
  2. 身体検査
    • 一般的な身体検査を行い、GERDに関連する他の健康問題の兆候を探します。
  3. 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
    • 内視鏡を用いて食道、胃、十二指腸の内側を観察し、炎症、潰瘍、食道の変化などをチェックします。
    • 必要に応じて組織のサンプルを採取して詳細な検査(生検)を行うことがあります。
  4. バリウム食道造影検査
    • バリウムという造影剤を飲んだ後、X線を用いて食道の動きと形状を評価します。
    • 食道や胃の構造異常を見つけるのに有効です。
  5. 食道pHモニタリング
    • 酸度を測定するセンサーを食道に配置し、一定期間(通常は24時間)酸の逆流を監視します。
    • GERDの診断と治療の効果を評価するのに役立ちます。
  6. 食道マノメトリー(運動機能検査)
    • 食道の筋肉の動きと圧力を測定する検査で、食道の運動異常を評価します。

逆流性食道炎の治療方法

  1. 生活習慣の改善
    • 体重の管理:肥満はGERDのリスクを高めるため、健康的な体重の維持が推奨されます。
    • 食後の姿勢:食後は少なくとも2〜3時間は起きており、横になるのを避けることが望ましい。
    • 食事の管理:一度に大量に食べるのではなく、小分けにして食事を取ること。
    • 禁煙:喫煙はGERDの症状を悪化させる可能性があるため、禁煙が推奨されます。
  2. 食事療法
    • 刺激性のある食品の制限:辛い食品、脂っこい食品、カフェイン、アルコールなど、GERDの症状を悪化させる可能性のある食品の摂取を控えます。
    • 食事のタイミング:就寝前の食事は避け、食後すぐに横にならないようにします。
  3. 薬物療法
    • プロトンポンプ阻害薬(PPI):より強力な胃酸分泌抑制効果を持ち、長期的な症状管理に使われることが多い。
    • PPIのオンデマンド療法:オンデマンド療法とは内服薬でいったん症状が消失したら中止、胃酸逆流症状が再度出現した時に内服を速やかに再開し症状が消失すれば服薬を終了します。必要なときに必要な分だけ内服を服薬する治療法です。当院ではこちらをお勧めしております。
  4. 外科的手術
    • 特に薬物療法が効果を示さない場合や重度のGERDに対して、外科的手術が検討されることがあります。
    • 内視鏡的手術:内視鏡を用いて食道の噴門形成術を行う。

これらの治療方法は、個々の患者の症状の重さや健康状態によって異なります。適切な治療法を選択するためには、医療専門家との綿密な相談が必要です。また、治療の効果は定期的に評価し、必要に応じて治療計画を調整することが重要です。

逆流性食道炎の予防と管理

  1. 生活習慣の改善
    • 体重管理:適切な体重を維持することは、胃への圧力を減少させ、GERDのリスクを低減します。
    • バランスの取れた食生活:辛い食品、高脂肪食、カフェイン、アルコールなど、GERDを悪化させる可能性のある食品を避ける。
    • 食事の量と頻度の管理:小さく分割した食事を頻繁に摂ることで、一度に大量の食物を摂取することによる胃の圧迫を避ける。
  2. 適切な食後の行動
    • 食後は少なくとも2〜3時間立って活動することで、重力が胃酸を胃内に保つのを助けます。
    • 食後すぐに横になることは避け、特に就寝前は食事を控えることが重要です。
  3. 禁煙と適度なアルコール摂取
    • 喫煙は食道の筋肉を弱め、GERDの症状を悪化させることが知られています。
    • アルコールは胃酸の分泌を刺激し、逆流を引き起こす可能性があります。
  4. ストレス管理
    • ストレスはGERDの症状を悪化させることがありますので、リラクゼーション技術やストレス管理戦略を実践することが有効です。
  5. 適切な寝具の使用
    • ベッドの頭部を少し高くすることで、重力が胃酸が食道に逆流するのを防ぎます。
  6. 定期的な医療でのチェックアップ
    • 定期的なフォローアップと医療チェックアップにより、症状の変化や治療の効果を評価し、必要に応じて治療計画を調整します。

これらの予防策と管理戦略は、GERDの再発リスクを減らし、症状を軽減するのに役立ちます。しかし、個々の状況に応じて異なる場合があるため、適切な予防策や管理方法については医師のアドバイスを受けることが重要です。また、症状が持続する場合や新たな症状が現れた場合は、医療機関を受診することが推奨されます。

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